2009年05月24日
脳梗塞
介護シリーズ 第4弾
豚インフルエンザ流行の昨今、街中ではマスク姿が多いです。
このことを集団ヒステリーだ、マスコミに踊らされている、等の批判記事を友人知人のブログ等で目にしますが、はたしてそうでしょうか?
まず、マスクは我が身をウイルスから守る為ではなく、自分が感染しているかもしれないインフルエンザウイルスを撒き散らさない為のものです。逆にとらえている人が多いんでない?
ボクが塗装する時に使うのは逆で合ってますけどね。
ウイルスをタバコに換えたら解りやすいでしょう。人混みでタバコの煙を撒き散らすのは人迷惑ですよね。
タバコの煙より新型インフルエンザウイルスの方がはるかに人迷惑でしょう。
タバコの煙は一瞬吸い込んだところで、気分が悪くなったりする程度でほとんど済むでしょうけど、ウイルスは数日仕事を休まなアカンことになるのですから。
もう一つは健康な人なら薬飲んでしばらく寝たら治る病気ですが、身体の弱い人や薬を敬遠している妊婦さんなどには深刻な影響を与えるということです。
あなたの隣を歩いている人は、もしかしたら抗がん剤治療中で免疫力が低下している人かもしれません。あなたが話している商談相手は腎臓が悪く人工透析している人かもしれません。
パッと見では解らないが健康に問題を抱えている人は結構いるものです。
こういう時は弱者基準でいきましょう。今回のインフルエンザもそうですが、自然災害や経済危機、戦争など何かことが起きて一番影響を食らうのが金も健康も無い弱者です。
一番弱い人に強い人が合わせることが自然に出来る社会が良い社会だと思いますけどねぇ。
なにも禁煙しろ等と言っているわけやないのです。マスクするだけです。大したことやおまへんでしょ。
心当たりのある人はマスクをしましょう。豚インフルエンザの今回に限らず香港型でもソ連型でも、かかったかなと思ったらマスクをしましょう。
さて長めのマクラはこの辺にして介護シリーズ、今回は脳梗塞です。
2007年 7月。奈良のリハビリ病院から退院してきた父は介護保険を利用して、自宅でぼちぼち暮らそうということになり、介護初体験の母と私はドタバタとなんやかんやと発生する問題を片づけながら日々過ごしていたのですが、退院2ヶ月後の9月に突然脳梗塞を発症したのです。
脳梗塞は脳の血管に血の塊が詰まって血管をふさぎ、血液で運ばれるべき酸素や栄養が行かなず、その先にある脳味噌が腐って死んでしまう病気です。腐って消滅した脳味噌の跡は空間が出来て、やがて脳は萎縮が進み認知症などの原因になります。
死んだ脳味噌の場所によっては命を落としたり、大きな後遺症が残ったりと症状は様々であります。
詳しくは ⇒ http://ja.wikipedia.org/wiki/脳梗塞
父の場合は左の大脳で小規模なものでした。命に別状はありませんが、一年前のクモ膜下出血のこともありますので慎重に治療して快方へ向かい、、、と思ったのですが、なんとその数日後に右脳の大部分を損傷する大きな脳梗塞を再び発症してしまったのです。
右の脳へ行く大きな太い血管が詰まったものですから、その先の枝分かれしている血管全てに血液が行かず、右脳は大きなダメージを受けました。右脳ほぼ全滅。
国立循環器病センターに入院中、しかも脳梗塞を治療中に脳梗塞になるって、どうやねん?
と思ったので友人の医師に聞いてみたが、脳梗塞を予見することは難しく、そういうこともあるとのこと。国立循環器病センターの担当医の言と同じである。
父は一年前に転んでクモ膜下出血を起こした際に血液をサラサラにする薬(ワーファリン)をストップしていました。その薬のせいでなかなか出血が止まらなかったそうで、転んで頭を打つ際の出血リスクを考え合わせ、脳梗塞予防よりも脳出血しにくい方を選択したのです。
しかし、今回はそれが裏目に出て血液の塊が出来て血管に詰まってしまいました。
脳梗塞の治療薬でt-PAという血栓溶解薬があるのですが(http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamph/pamph_63/panfu63_05.html)、国内の薬品メーカーが厚生省に圧力をかけて認可を遅らせるほど効き目の鋭い薬で、発症3時間以内の脳梗塞であれば驚異的な治療効果が有るものです。
病院内で発症し、しかもそこは脳梗塞治療では日本屈指の国立循環器病センター。t-PAを使わない手はないだろうと医師に迫ったのですが、この薬を使うには色々制約があるそうです。
最近脳梗塞を起こしている、最近脳出血を起こしている、高血圧、等は使用不可。
オヤジには全部当てはまるではないか。
血栓溶解力が強い分、出血のリスクも高いそうでやみくもに使うと、どえらいことになるそうです。
そう言うわけで素人の聞きかじり知識は簡単に論破されt-PAは使えず、ヘパリン等の点滴で処置するしかなく、その時から父は言葉と思考と身体の自由を失うことになったわけです。
つまり寝たきりになったのです。またモノを食えなくなったので鼻から胃に通したチューブで栄養液を点滴することになりました。 飲み込む、つまり嚥下は右と左の脳を均等に使うそうで、父のように一方がやられたら飲み込むことが出来なくなるのです。
飲まず食わずで口を使わないので唾液の分泌が減少してくる。そうすると口腔内の殺菌能力が低下し、よろしくない菌がはびこる。それが何かの拍子に肺に入り、誤嚥性肺炎をおこし重篤な事態になることは非常に多い。新聞の訃報欄の「肺炎で死亡」というのはこの誤嚥性肺炎の場合が非常に多い。
また全身の司令塔である脳がダメになったので、全身の状態が悪化します。父はSCU(ストロークケアユニット)集中治療室のようなものですが、そこから一般病棟へ移れるくらい回復したころに感染症になり死にかけました。このときはさすがに覚悟を決めましたが、さすが国立循環器病センターです、経験豊富な医師グループの高度な治療で何とか一命を取り留めてもらいました。
そして一ヶ月後にはSCUを出て一般病棟に移ることが出来たのです。
本格的な寝たきりライフのスタートです。
癌が治癒して寝たきりになることはまれです。しかし脳梗塞は治癒したあとに寝たきりになることが多い。
寝たきり老人の40%は脳梗塞の後遺症だという統計があります。
日本の医療費で一番は癌の2兆円で、第2位が脳梗塞を初めとする脳血管疾患の1.9兆円だが、後遺症の為の介護費等々を加算すると癌を抜き一番金のかかる病気になる。
ところが脳梗塞は我々中年では誰しも罹患することがある病気だという認識がガンほど無い。
死亡原因第2位だというのに。
予防には、水分をしっかり摂る、高血圧はダメ、禁煙すること、糖尿病はやばい、等々ですが、詳しくはかかりつけの医師に聞くなりググるなりで調べてください。
とにかく脳がやられたら終わりですから、ほんまに気ぃつけなあきません。
ウチのお客さんの中にも脳梗塞で苦しんだ方がいます。
出張先で倒れ2年のリハビリでやっとギターが弾けるまで回復できたがジャズギターはもう弾けないという方。
夕食中に奥さんに片方の目が動いていないのを発見され、速攻で病院にいき軽症で済んだ方。
仕事中に倒れ回復はしたが退職を余儀なくされた方。
身体がしびれてきて脳梗塞だと解ったのは数日後という方は身体のしびれが取れない後遺症を。
この人たちはいずれも私とほとんど同じ年齢の働き盛りです。
神様は仕事の出来る有能な人間に強靱な身体を与えた訳ではありません。
同世代諸君、どうかご無理なさらずに。どうぞ脳味噌を大切に。
豚インフルエンザ流行の昨今、街中ではマスク姿が多いです。
このことを集団ヒステリーだ、マスコミに踊らされている、等の批判記事を友人知人のブログ等で目にしますが、はたしてそうでしょうか?
まず、マスクは我が身をウイルスから守る為ではなく、自分が感染しているかもしれないインフルエンザウイルスを撒き散らさない為のものです。逆にとらえている人が多いんでない?
ボクが塗装する時に使うのは逆で合ってますけどね。
ウイルスをタバコに換えたら解りやすいでしょう。人混みでタバコの煙を撒き散らすのは人迷惑ですよね。
タバコの煙より新型インフルエンザウイルスの方がはるかに人迷惑でしょう。
タバコの煙は一瞬吸い込んだところで、気分が悪くなったりする程度でほとんど済むでしょうけど、ウイルスは数日仕事を休まなアカンことになるのですから。
もう一つは健康な人なら薬飲んでしばらく寝たら治る病気ですが、身体の弱い人や薬を敬遠している妊婦さんなどには深刻な影響を与えるということです。
あなたの隣を歩いている人は、もしかしたら抗がん剤治療中で免疫力が低下している人かもしれません。あなたが話している商談相手は腎臓が悪く人工透析している人かもしれません。
パッと見では解らないが健康に問題を抱えている人は結構いるものです。
こういう時は弱者基準でいきましょう。今回のインフルエンザもそうですが、自然災害や経済危機、戦争など何かことが起きて一番影響を食らうのが金も健康も無い弱者です。
一番弱い人に強い人が合わせることが自然に出来る社会が良い社会だと思いますけどねぇ。
なにも禁煙しろ等と言っているわけやないのです。マスクするだけです。大したことやおまへんでしょ。
心当たりのある人はマスクをしましょう。豚インフルエンザの今回に限らず香港型でもソ連型でも、かかったかなと思ったらマスクをしましょう。
さて長めのマクラはこの辺にして介護シリーズ、今回は脳梗塞です。
2007年 7月。奈良のリハビリ病院から退院してきた父は介護保険を利用して、自宅でぼちぼち暮らそうということになり、介護初体験の母と私はドタバタとなんやかんやと発生する問題を片づけながら日々過ごしていたのですが、退院2ヶ月後の9月に突然脳梗塞を発症したのです。
脳梗塞は脳の血管に血の塊が詰まって血管をふさぎ、血液で運ばれるべき酸素や栄養が行かなず、その先にある脳味噌が腐って死んでしまう病気です。腐って消滅した脳味噌の跡は空間が出来て、やがて脳は萎縮が進み認知症などの原因になります。
死んだ脳味噌の場所によっては命を落としたり、大きな後遺症が残ったりと症状は様々であります。
詳しくは ⇒ http://ja.wikipedia.org/wiki/脳梗塞
父の場合は左の大脳で小規模なものでした。命に別状はありませんが、一年前のクモ膜下出血のこともありますので慎重に治療して快方へ向かい、、、と思ったのですが、なんとその数日後に右脳の大部分を損傷する大きな脳梗塞を再び発症してしまったのです。
右の脳へ行く大きな太い血管が詰まったものですから、その先の枝分かれしている血管全てに血液が行かず、右脳は大きなダメージを受けました。右脳ほぼ全滅。
国立循環器病センターに入院中、しかも脳梗塞を治療中に脳梗塞になるって、どうやねん?
と思ったので友人の医師に聞いてみたが、脳梗塞を予見することは難しく、そういうこともあるとのこと。国立循環器病センターの担当医の言と同じである。
父は一年前に転んでクモ膜下出血を起こした際に血液をサラサラにする薬(ワーファリン)をストップしていました。その薬のせいでなかなか出血が止まらなかったそうで、転んで頭を打つ際の出血リスクを考え合わせ、脳梗塞予防よりも脳出血しにくい方を選択したのです。
しかし、今回はそれが裏目に出て血液の塊が出来て血管に詰まってしまいました。
脳梗塞の治療薬でt-PAという血栓溶解薬があるのですが(http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamph/pamph_63/panfu63_05.html)、国内の薬品メーカーが厚生省に圧力をかけて認可を遅らせるほど効き目の鋭い薬で、発症3時間以内の脳梗塞であれば驚異的な治療効果が有るものです。
病院内で発症し、しかもそこは脳梗塞治療では日本屈指の国立循環器病センター。t-PAを使わない手はないだろうと医師に迫ったのですが、この薬を使うには色々制約があるそうです。
最近脳梗塞を起こしている、最近脳出血を起こしている、高血圧、等は使用不可。
オヤジには全部当てはまるではないか。
血栓溶解力が強い分、出血のリスクも高いそうでやみくもに使うと、どえらいことになるそうです。
そう言うわけで素人の聞きかじり知識は簡単に論破されt-PAは使えず、ヘパリン等の点滴で処置するしかなく、その時から父は言葉と思考と身体の自由を失うことになったわけです。
つまり寝たきりになったのです。またモノを食えなくなったので鼻から胃に通したチューブで栄養液を点滴することになりました。 飲み込む、つまり嚥下は右と左の脳を均等に使うそうで、父のように一方がやられたら飲み込むことが出来なくなるのです。
飲まず食わずで口を使わないので唾液の分泌が減少してくる。そうすると口腔内の殺菌能力が低下し、よろしくない菌がはびこる。それが何かの拍子に肺に入り、誤嚥性肺炎をおこし重篤な事態になることは非常に多い。新聞の訃報欄の「肺炎で死亡」というのはこの誤嚥性肺炎の場合が非常に多い。
また全身の司令塔である脳がダメになったので、全身の状態が悪化します。父はSCU(ストロークケアユニット)集中治療室のようなものですが、そこから一般病棟へ移れるくらい回復したころに感染症になり死にかけました。このときはさすがに覚悟を決めましたが、さすが国立循環器病センターです、経験豊富な医師グループの高度な治療で何とか一命を取り留めてもらいました。
そして一ヶ月後にはSCUを出て一般病棟に移ることが出来たのです。
本格的な寝たきりライフのスタートです。
癌が治癒して寝たきりになることはまれです。しかし脳梗塞は治癒したあとに寝たきりになることが多い。
寝たきり老人の40%は脳梗塞の後遺症だという統計があります。
日本の医療費で一番は癌の2兆円で、第2位が脳梗塞を初めとする脳血管疾患の1.9兆円だが、後遺症の為の介護費等々を加算すると癌を抜き一番金のかかる病気になる。
ところが脳梗塞は我々中年では誰しも罹患することがある病気だという認識がガンほど無い。
死亡原因第2位だというのに。
予防には、水分をしっかり摂る、高血圧はダメ、禁煙すること、糖尿病はやばい、等々ですが、詳しくはかかりつけの医師に聞くなりググるなりで調べてください。
とにかく脳がやられたら終わりですから、ほんまに気ぃつけなあきません。
ウチのお客さんの中にも脳梗塞で苦しんだ方がいます。
出張先で倒れ2年のリハビリでやっとギターが弾けるまで回復できたがジャズギターはもう弾けないという方。
夕食中に奥さんに片方の目が動いていないのを発見され、速攻で病院にいき軽症で済んだ方。
仕事中に倒れ回復はしたが退職を余儀なくされた方。
身体がしびれてきて脳梗塞だと解ったのは数日後という方は身体のしびれが取れない後遺症を。
この人たちはいずれも私とほとんど同じ年齢の働き盛りです。
神様は仕事の出来る有能な人間に強靱な身体を与えた訳ではありません。
同世代諸君、どうかご無理なさらずに。どうぞ脳味噌を大切に。
Posted by Joe at 05:20│Comments(1)
│介護
この記事へのコメント
デリケートな話題ですね。親が病院関係で働いているので、このような話はよく聞かされております。年齢関係なく、食生活も関係してくるので、自分も気をつけないと、と思います。
Posted by Itoyama at 2009年06月09日 01:22
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