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2010年08月19日

折れないように

今製作中のSGモデルを発注されたお客様は、GibsonのSGのネックを3回折ったことがある。
2回は修理出来たが、3回目は折れ方がややこしくて、ネックの作り替えしかない状態だった。
お客様は高額な修理を諦め、テレキャを使うようになったが、愛着あるSGが忘れられずオーダーメイドと相成った。
ですから、このギターは折れないことが大切なんですわ。

トラスロッドの調整用ナット部分が掘込まれていることにより薄くなったことと、
ヘッド角度が付くことによって木目の目切れが起るヘッドの付け根部分が一番弱い所でありまして、
補強のポイントはその部分に施すことになります。
指板は固いマダガスカルローズウッドを使用。これも強度アップに貢献してます。


施策その1
折れないように
ヘッドベニアにエボニーを使用。
通常は薄いメイプル等の単板を黒く着色したものを使うが、それでは強度は期待出来ない。
2ミリ強のエボニー板はヘッドの強度を高めてくれるでしょう。
着色の手間も省けるし、LPを作った時もこの仕様にしました。



施策その2
折れないように
ヘッド裏をメイプルで補強。
ネック折れの修理で補強を入れる際によくやる処置です。
つまり最初から補強しておけってことね。
ボリュート部分のメイプルを見てもらったら、どういう方法で接着されているか解る人には解ると思います。
寸分の隙間も無いように接着しないと強度が出ませんから、精密な加工が必要です。


この2つの補強でネックを折る力に対抗出来ると思うのですが、
倒した時などの力が減る訳では無く、弱い所に行くだけです。
おそらくナットから1フレット辺りのネック部分に力がかかり、場合によっては折れるでしょう。
では、この部分を補強するか? となりますが、そこまではしません。
多ピースネックはねじれやすいし、メイプルネックよりマホネックの方が響きが良い。
ですからもう倒したりしないで下さいね。



おまけ
折れないように
ネックジョイント部分が緩んだSGを修理したことがあるので、
ついでにここもメイプルを貼りました。


ヘッドの構造が変わったので音も少し変わるかも知れません。
しかしそれはクルーソンタイプのペグからグローバーロートマティックタイプのペグに交換した程度の変化でしょう。
音の変化より、うっかり屋さんのお客様がネック折れの悲劇に見舞われない方が優先です。

毎月ネックの折れたギブソンを修理してますと、Gibsonも最初からこうしておいたらどうかと思うのですが、、、、。
やはりオールドスペックへのこだわりが有るのでしょうか。

さて塗装も乾いたし、今月中に完成させますから楽しみにしていて下さいね。

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