エレクトリックギターのジャックがトラブって、プラグの所を触るとバチバチとノイズが出る。
よくあるトラブルですよね。しかもライブ前日とかステージで演奏中とか、肝心な時に起るのですよね。
ウチにもこの修理依頼は多く、ジャックの交換でほぼ治るのですが、
ジャックを交換したくない場合やリペアに持込んでゆっくり修理してる時間が無い時などに役立つTipsを。
ちょっと前のことなんですが、60年製のストラトのオーナーさんがこのトラブルで何軒かのリペアショップに持込んだのだが、
全てジャックを交換するとのことだった。
しかしオーナーさんはフルオリジナルのヴィンテージストラトのパーツを交換するのは出来れば避けたいとのことで、
ウチにも交換しないでなんとかならんかと問い合わせてきた。
交換しなくてもほとんどの場合は治るのですが、今後のことを考えて500円のパーツですから、ウチも多くの場合は交換を勧めます。
しかしジャックを交換しただけで、ずいぶん値段が落ちるらしい。
落ちる金額は聞かなかったが、だいたい想像はつく。小市民の私だったら絶対に交換しない金額だ。
というわけでどうしたかというと、汚れを取ったのです。お掃除ですね。それだけでスカッと治りました。
交換の必要はありませんでした。
意外と知らない人が多いのだなと思ったので、方法をご案内しておきます。

まず上の写真を見てもらえば分かりますが、プラグの先っちょがプラス側です。ホット側とも呼びますね。
先っちょ以外がマイナス側(アース側)ですね。
プラス側のクビレに板バネの如く接触しているのがジャックのプラス側で、板バネの力で食い込んでいますので、接触不良が起ることはあまり無い。

この写真を見てもらえば分かりますが、プラス側接点に 縦に一本 擦り跡が見えるでしょ。
これはジャックの先っちょが擦れていった跡でして結構な力で接触して、めったに導通不良は起きません。
これはSwitchCraft社のジャックですが、国産orアジア製の廉価版のギターに採用されているジャックは下の写真のようにプラス側接点の板バネが貧弱でクビレに押え付ける力が弱い、あるいは弱くなってくるのでプラス側の接触不良もあるかもしれない。

左が国産、右がスイッチクラフト。プラス側接点のバネの力とその剛性には大きな違いがあります。
予防という意味でもSwitchCraftに交換した方が良いと思います。
SwitchCraftのジャックはずいぶん丈夫に出来ておりまして、50年前のものでもプラグを突っ込む時の手応えが硬くカチッと入って気持ち良いのですが、安物ジャックは数年経つとプラグが簡単に抜けてしまい、接触不良が起りがちです。
安いエフェクトペダルとかに使われている黒いプラスティック製のジャックもすぐバチバチきますわな。まあ安いからしゃーないけど。
多くの場合接触不良が起きるのはマイナス側(アース側)であります。
プラグのプラス側(先っちょ)が板バネのジャック側接点に押されて、プラグのマイナス側(アース側)がジャックの円筒の内部側面(六角ナットがついている部分の内側)とリム部分に押え付けられ、しっかりと接触します。

新しいジャックは上の写真のように内側がピカピカで奇麗です。
しかし年代物のギター等は汚れがついてマイナス側への電気の流れを邪魔する事が起きる。ジャックを持って力を加えると導通が出たり出なかったりが起きてバチバチと不快なノイズが出ます。

これは1959年製のジャズマスターですが、マイナス側が汚れているのが分かりますね。
これを掃除してやれば良いのです。

こんな感じ。
使ったのはホームセンター等で売っているコットンに金属磨きの薬剤を含浸してあるもの。(商品名は忘れました)
細いドライバーの先等に巻き付けて、奥のほうまで丁寧に汚れをとって下さい。
紙ヤスリやスチールウールは使ってはいけません。接点表面が削られてザラザラになると汚れを寄せ付けることになりますし、メッキが剥がれて錆びてしまうかもしれません。

しこたま汚れが取れました。
このジャズマは私のだからええのですが、ジャックをピックガードやボディから取り外してやって下さいね。あるいはマスキングしてね。汚れ落としの薬剤は結構強力なので塗装やPGの樹脂を傷めるかもしれません。
これでだいたい治ると思うのですが、ヴィンテージギターの場合やライブ前の緊急時以外はスカッと新しいジャックに交換した方が良いのは言うまでもありません。
では股!!!